2011年06月16日

加えて、加えて両方を

昨日は札幌交響楽団第539回定期演奏会。秋山和慶指揮でショスタコーヴッチのピアノ協奏曲第一番。編成を見て丁寧に言うと「ピアノ、トランペットと弦楽のための協奏曲」。
 ピアノはジャズピアノでつとに有名な小曽根真。トランペットは札響首席奏者の福田善亮であった。作曲者27歳の作品で、当初はトランペット協奏曲として構想したところ、自らピアノの名手でもありピアノを加えて作曲したため、結局ピアノ協奏曲第一番となった。
 後半は、レスピーギのローマの三部作「ローマの祭り」「ローマの噴水」「ローマの松」。4年前の暑いイタリア旅行を思い出しながら、100人の大編成の色彩華やかな響きと大音響ですっかり陶酔してきた。
 
 中丸明著『スペイン、とっておき』文春文庫を読了。2007年の文庫オリジナル。格好をつけるわけではないが、下ネタ表現が過剰で、些かうんざりという気がする。ここには書かないが、いくらスペインとはいえ、そうしなくても著者の能力は充分認めているのに。
 地元観光ガイドの表現をとりつつ、スペインを初心者向けに紹介している。
 例えば、プラド美術館。スペイン帝国にふさわしい美術館をという計画は、16世紀半ばに既にあった。当時、新世界からの莫大な富が流れ込んできていた。ヨーロッパ各地のカトリック護持とプロテスタント退治の遠征軍を派遣し、各地からの手土産を並べただけでも美術館は成立したはず。でもそこは何事にもアスタ・マニャーナHasta Manana(いずれ、そのうちにね)のお国柄。Manのnの上に波マークつき文字。
 明日じゃ間にゃ合わん、と言ってもアスタ・マニャーナ。
 1800年にナポレオン占領下で、その兄のジョセフ(スペイン式にはホセ)がホセ一世としてスペインを統治して、美術館建設の委員会も設けられ、かのゴヤも委員になった。
 現在のプラドは、啓蒙王といわれたカルロス三世が自然科学博物館として建てたもので、1819年王立美術館としてオープン。1837年の教会の永代財産解除令によって、国有になった教会や修道院から、ごろごろと絵画や美術工芸品が出てきたものの、きちんと保存しておくことの不得手なスペイン人。ガラクタ同然に放っておかれたものが、まがりなりにも残っているのは、乾燥した気候のおかげだと著者はいう。



Posted by vasadon49 at 12:13│Comments(0)
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